「永住権申請」をわかりやすく解説します|在留資格「永住者」とは

永住権(正式には「永住許可」)とは、外国人が日本に在留期間の制限なく永住できる在留資格のことです。

在留資格「永住者」を取得すれば更新の必要がなくなり、職種や活動内容にも制限がなくなります。

そのため、日本で長く生活基盤を築いた外国人の多くが永住権取得を目指しています。

本記事では、永住権を申請する際に押さえておきたいメリット取得要件必要書類申請手続きの流れについて、最新の公式情報に基づき専門家がわかりやすく解説します。

永住権とは?帰化との違い

永住権(永住ビザ)とは、日本で無期限に滞在できる権利であり、取得すると在留カードに「永住者」と記載されます。

一方、日本に帰化するというのは日本国籍を取得することであり、国籍面で日本人になる点が永住権とは異なります。

永住者は外国籍のままなので選挙での投票権や日本国旅券の発行はありませんが、本国籍を維持しながら日本に安定的に住める利点があります。

特別永住者という言葉もありますが、こちらは主に歴史的経緯で日本に居住する一部の在日韓国・朝鮮人などに付与される特例的な在留資格で、一般的な永住権申請とは制度が異なります。

永住権と他の在留資格との違いも確認しておきましょう。

永住権を取得すると在留期間の更新が不要になり、就労や活動の制限もなくなるため、日本での生活における自由度と安定感が飛躍的に高まります。

例えば現在「技術・人文知識・国際業務」など就労ビザで働いている場合、永住権を取得すればどの業種でも働けるようになり、転職の際にも在留資格を変更する手間が省けます。

また在留期限も無期限となるため、中長期的な計画(マイホーム購入や事業経営など)を立てやすくなるでしょう。

永住権を取得するメリット

永住権を取得するメリット

永住権を取得することで得られる主なメリットをまとめます。

  • 在留期間が無期限になる – 原則在留カードの更新だけで済み(永住者の在留カード有効期限は7年ごと更新)、毎年または数年ごとのビザ更新手続きから解放されます。長期的に日本で生活基盤を築ける安心感があります。
  • 就労・活動の自由度が拡大職種や業種の制限がなくなり、どのような仕事にも就けます。副業や起業も自由に行えるため、キャリアの選択肢が広がります。
  • 社会的信用の向上 – 永住者になると住宅ローンなど金融審査で有利になる場合があります。雇用面でも在留期限を気にされないため企業から長期戦力として歓迎される傾向があります。
  • 家族の帯同・生活 – 永住者本人が安定して暮らせることで、配偶者や子どもの在留資格も安定しやすくなります(※永住者の配偶者や子は「永住者の配偶者等」ビザを取得できます)。家族で安心して日本に定住できるでしょう。
  • 帰化よりハードルが低い – 日本国籍を取得する帰化では日本政府への帰化申請や原則母国籍放棄が必要ですが、永住権であれば国籍を変えずに日本で永住できます。日本への帰属意識は高めたいが国籍は維持したいという場合に永住権は適した選択と言えます。

なお永住権を取得しても日本国民ではないため、公務員でも一部の職(国家公務員上級職など)や選挙権・被選挙権は引き続き持ちません。

また永住者であっても、日本国外に長期間滞在すると永住資格を失う場合があります。

特に注意すべきポイントは次のとおりです。

  • 再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けずに出国した場合:この場合は、出国した時点で現在の在留資格および在留期間は消滅します。たとえ数日間の出国であっても、再入国許可を取らずに出国すると同じ在留資格では戻れません。
  • みなし再入国許可で出国した場合:有効な旅券と在留カードを所持し、「みなし再入国許可」を利用して出国したときは、出国の日から1年以内(特別永住者は2年以内、または在留期限がそれより早い場合は在留期限まで)に再入国しないと在留資格が失われます。
  • 1年以上海外に滞在する可能性がある場合:帰国時期が1年を超える可能性があるとき、あるいは予定が不確実なときは、事前に通常の再入国許可(有効期間は在留期間内で最長5年、特別永住者は最長6年)を取得してから出国する必要があります。

「とりあえず出国してから考える」といった自己判断は大変危険なので、出国前に必ず自分の再入国許可の種類と有効期間を確認しましょう。

永住権取得の基本要件(法律上の3条件)

永住権取得の基本要件(法律上の3条件)

永住権(在留資格「永住者」)を申請するためには、日本の入管法で定められた3つの法律上の要件を満たす必要があります。

法務省の「永住許可に関するガイドライン」では次のように規定されています。

(1)素行が善良であること

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

  • ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
  • イ 罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
    ※公的義務の履行について、申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます。
  • ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
  • エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
    ※ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また、難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しない。
永住許可に関するガイドライン(令和7年10月30日改訂)

※例外規定: 上記(1)および(2)の要件については、日本人・永住者・特別永住者の配偶者や実子が永住権を申請する場合は課されません。

また難民認定を受けた方の場合は(2)の生計要件が免除されます。

これは、配偶者や子どもについては家族のサポートが期待できること、難民については人道上の配慮がなされることによる特例です。

ただしこれらの場合でも、公的義務の履行や犯罪歴の有無など(素行善良・国益要件の一部)は厳格に審査されます。

以下では、この3つの基本要件についてさらに詳しく解説します。

1. 素行善良要件 – 違反や滞納がないこと

 素行善良要件 – 違反や滞納がないこと

「素行が善良であること」とは、端的に言えば日頃から法令を守り社会の一員として模範的な生活を送っているかということです。

具体的なチェックポイントは次の通りです。

  • 犯罪経歴がないこと:ガイドライン上は、懲役刑や罰金刑などの刑罰を受けていないことが原則とされています。過去に懲役刑や重い罰金刑がある場合は、永住許可が認められる可能性はかなり低くなります。一方で、軽微な罰金などが一度だけあるケースなどでは、違反の内容・時期・その後の生活状況によっては、直ちに永住申請が完全に不可能とされるわけではありません。いずれにしても、刑罰歴がある場合は審査が非常に厳しくなるため、申請のタイミングや必要な反省・改善の説明について、専門家に相談しながら慎重に準備することが重要です。
  • 交通違反・軽微な違反:スピード違反や駐車違反などの軽い交通違反は一度きりで反省していれば大きな問題とされないケースもありますが、繰り返し違反している場合は注意が必要です。度重なる違反は素行不良と見なされ永住許可が下りない可能性が高まります。
  • 入管法違反がないこと:オーバーステイや資格外活動など入国管理法に反する行為をしていないことも重要です。過去に在留特別許可で救済された経歴などがあると厳しく審査されるでしょう。
  • 公的義務の履行状況:納税や社会保険への加入・保険料納付も素行面の一部と捉えられます。税金・年金・健康保険の滞納や未加入は「義務の不履行」として素行善良とは認められません。特に直近数年分の住民税や年金保険料の納付状況は厳しくチェックされます。

要するに、永住権申請時には「法律違反をしていないか」「社会人としての義務を怠っていないか」という視点で過去から現在までの生活態度が評価されます。

日頃から交通ルールを守り、税金や年金をきちんと納めておくことが大切です。

【2024年入管法改正と永住許可の取消し規定について】

2024年の入管法改正により、2027年4月からは、永住者であっても一定の場合には永住許可が取り消され得る新しいルールが導入される予定です。(参考:令和7年9月29日 出入国在留管理庁『出入国在留管理政策懇談会資料① 第7回会合(永住許可制度の適正化について』)

具体的には、以下のような場合、取消しの検討対象になるとされています(病気・失業などやむを得ない事情がある場合や、義務を十分認識していなかったケースは原則として対象外とする方向で運用案が公表されています)。

  • 税金や公的年金・医療保険料を「支払う能力があるのに、故意に支払わない」など
  • 悪質で多額・長期の滞納がある場合 など

この改正により、永住権取得後も「納税や社会保険料の適正な納付」「各種届出義務の履行」といった公的義務を継続的に守ることの重要性が、これまで以上に高まっています。

2. 独立生計要件 – 安定した収入や資産があること

 独立生計要件・在留年数要件

「独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること」とは、生活保護に頼らず自立して生活できるだけの収入・資産があるという意味です。

具体的には以下の点が審査されます。

  • 現在の収入水準:一つの目安として「年収300万円程度」が基準と言われます。もちろん世帯人数によって必要な収入は変動し、扶養家族が多い場合は基準額も上がります。たとえば本人と配偶者のみの世帯で300万円前後、子どもがいればもう少し高い年収が望ましいというイメージです。
  • 世帯収入での評価:収入は申請者本人だけでなく世帯全体で考慮されます。本人の収入が少なくても、配偶者に十分な収入があれば世帯として自立していると見なされます。実際、配偶者の収入を合算することで独立生計要件を満たすケースも多いです。
  • 職業と雇用状況:正社員として継続的に働いている場合は安定収入が見込まれると判断されます。逆に短期間で頻繁に転職している場合や、失業中で収入が不安定な場合はマイナス評価となります。継続した勤務先・職歴の安定も重要なポイントです。
  • 資産の有無:収入だけでなく預貯金額や不動産等の資産も参考にされます。例えば、一定額以上の貯金があれば万一収入が一時的に減少しても生活できると判断材料になります。また持ち家や株式などがあれば提出資料に含めることでプラス要素となるでしょう。
  • 扶養状況:扶養している家族(特に子ども)が多い場合は、その家族を支えるのに十分な収入かどうか見られます。ただし扶養者(配偶者)の収入合算が可能なので、共働きであれば世帯収入全体で評価されます。

以上を総合すると、「日本で安定した暮らしを続けていける経済力」が問われるということです。

目安年収はありますが明確なラインは公表されていないため、不安な場合は過去数年分の収入推移預貯金の残高証明なども提出して総合力で審査官を納得させる工夫も有効です。

仮に単年で年収が300万円を少し下回っても、複数年平均や配偶者収入、貯蓄などで補強できれば許可の可能性は十分あります。

3. 日本国の利益に合致すること – 在留年数要件とその他条件

最後の「日本国の利益に合すると認められること」(いわゆる国益要件)では、主に在留年数現在の在留状況、そして公的義務の履行状況がチェックされます。

この要件が一番複雑ですが、ポイントを整理しましょう。

在留年数(原則10年)

永住権申請では、原則として「中長期在留資格」で引き続き10年以上日本に在留していることが求められます。

この10年のカウントについては次のように整理するのが実務に近い運用です。

  • 「留学」や「家族滞在」などで在留していた期間も、在留資格を切らさずその後に就労資格や居住資格へ変更している場合には、10年の在留歴に含めてカウントされます。
  • ただし、ガイドライン上は「この10年のうち5年以上は、就労資格(※技能実習・特定技能1号を除く)または居住資格で在留していること」が別途求められています。この「5年要件」には「留学」「家族滞在」「技能実習」「特定技能1号」などの期間は原則としてカウントされません。
  • 「短期滞在」ビザで日本に滞在していた期間は、永住許可のための10年の在留歴には含まれず、最初に中長期在留資格(在留カードが交付される在留資格)を取得した日からカウントが始まります。

したがって、例えば「留学5年+技術・人文知識・国際業務5年」のように、留学から就労ビザへ切り替えて在留資格を切らさず合計10年在留しているケースであれば、在留年数要件を満たす可能性がありますが、「留学6年+就労ビザ4年」のように就労・居住資格での在留が4年しかない場合は、あと1年就労ビザで在留してから申請するのが安全です。

日本で安定的な活動実績を積んだかどうかを見るための期間要件です。

犯罪歴・義務履行(再確認)

先述の素行要件とも重なりますが、「罰金刑以上の前科がない」「税金・年金・健康保険料などの公的義務を滞りなく履行している」ことがここでも重視されます。

税金の未納や滞納、年金未加入期間があると致命的です。

なお年金については、免除申請や学生猶予を受けていた期間は未納とは見なされません

正規の手続きを踏んで免除されている分には問題ないですが、収入があるのに免除を利用していた場合などはマイナスに働く可能性があるため注意しましょう。

最長在留期間の取得

現在持っている在留資格で許される最長の在留期間を得ていることも条件です。

例えば技術・人文知識・国際業務ビザの場合、現行法では最長5年の在留期間が付与されますが、申請者が常に1年や3年のビザしかもらえていない状況だと、「入管からまだ長期在留を許可されていない=信用度が十分ではない」と判断されかねません。

一般には3年または5年ビザを所持していれば永住申請は可能とされています。

実際の運用では「必ず5年でなければ不可」というわけではなく、3年ビザでも問題なく申請可能です。

ただし家族で同時申請する場合、主たる申請者が3年または5年であれば、扶養家族のビザ期間が1年でも構いません。

公衆衛生要件

伝染性の重篤な病気にかかっていないことも条件(エ)として挙げられています。

通常の生活で支障がない健康状態であれば特に証明書提出などは求められませんが、結核など公衆衛生に影響する疾病治療中の場合は完治証明などが必要になるケースもあります。

以上のように国益要件は多岐にわたりますが、平たく言えば「十分な在留実績(年数)を積み、今後も問題なく日本社会に定着して生活していける人物」と認められることが必要だということです。

実際、永住権の審査はかなり厳格で、不許可になる例も少なくありません。

しっかりとガイドラインを理解し、要件を満たしてから申請に臨むことが大切です。

【在留年数要件の特例】10年未満でも申請可能なケース

【在留年数要件の特例】10年未満でも申請可能なケース

上で「原則10年」と述べた在留年数要件には、実はいくつか緩和措置(特例)が設けられています。

特定の身分や功績を持つ方については、10年を待たずに永住申請が認められる場合があります。以下に主な特例ケースと条件をまとめた比較表を示します。

特例に該当する方在留年数の条件(短縮措置)
日本人・永住者・特別永住者の配偶者
(日本人の実子等を含む)
現実に婚姻関係が3年以上継続し、引き続き1年以上日本に在住していること
*日本人・永住者の実子の場合は1年以上日本在住
定住者ビザを持つ方定住者の在留資格で5年以上継続して日本に在留していること
難民認定を受けた方難民認定後、5年以上継続して日本に在留していること(※難民申請中の期間は含まれない)
日本への特別な貢献がある方外交、経済、文化などの分野で日本に貢献が認められ、5年以上日本に在留していること
*例:ノーベル賞受賞者など極めて稀なケース
特定地域の公私機関に貢献している方「地域再生法」に基づく特定地域に所在する機関での活動によって貢献が認められ、3年以上その地域に継続在留していること
高度専門職ポイント制(70点以上)入管のポイント計算で70点以上に該当し、かつ3年以上継続して日本に在留していること
*または「3年前時点で70点以上」かつ通算3年在留でも可
高度専門職ポイント制(80点以上)入管のポイント計算で80点以上に該当し、かつ1年以上継続して日本に在留していること
*または「1年前時点で80点以上」かつ通算1年在留でも可

このように、配偶者ビザや高度人材ビザの場合は大幅にハードルが下がることがわかります。

例えば日本人と結婚している方は、日本での生活開始から実質1年で永住権申請資格を得るケースもあります(海外で2年以上婚姻⇒日本移住後1年で計3年など)。

また高度専門職として来日し高ポイントを有する方は、最短1年という非常に短期間で永住権を取得することも可能です。

もっとも、特例条件に該当する場合でも素行要件・生計要件など基本的な部分は免除されません(一部免除規定ある配偶者・難民を除く)ので、「特例だから簡単に許可が下りる」わけではありません。

配偶者ビザの方でも収入が不安定だったり納税状況に問題があれば不許可になりますし、高度人材の方でも転職を繰り返していたりすると審査に影響します。

特例に該当する方は、在留年数の要件が短縮されるというメリットを活かしつつ、他の条件もきちんと満たすよう準備しましょう。

永住権申請に必要な書類一覧

永住権申請に必要な書類一覧

永住許可申請を行う際には、多岐にわたる書類を準備する必要があります。

提出書類は申請人の在留資格や身分(就労者なのか配偶者なのか等)によって若干異なりますが、ここでは一般的なケースに共通する主な必要書類を紹介します。(参考:法務省ホームページ:永住許可申請にかかる提出書類一覧表(概要版(就労資格))永住許可申請にかかる提出書類一覧表(概要版(就労資格以外))

  • 永住許可申請書(所定様式) – 入管指定の申請用紙です。写真貼付欄があり、縦4cm×横3cmの証明写真(申請前6か月以内に撮影)を貼付します。16歳未満の申請者は写真不要です。
  • 身元保証書(所定様式) – 日本に住む日本人または永住者に身元保証人になってもらい、提出します。身元保証人は「本人が法令遵守・公的義務履行するよう支援する」ことを誓約する書面で、連帯責任を負うものではありません。
  • 理由書(任意提出) – 永住を希望する理由や経緯、現在の生活状況、将来の計画などを書面にまとめたものです。必須ではありませんが、提出すると審査官へのアピールになります。特に過去に違反歴がある場合の反省文や、収入面不安がある場合の補足説明など、マイナス要因をカバーする資料として有効です。
  • 在留カードおよびパスポート – いずれも原本を申請時に提示し、コピーを提出します。現在の在留状況を確認するため必要です。
  • 住民票(世帯全員分) – 申請人を含む家族全員が記載された住民票を1通用意します。マイナンバーは省略された形で市区町村役場から発行してもらいます。日本にいる家族構成や住所を証明するものです。
  • 身分関係を証明する書類 – 申請人の出生証明書結婚証明書など、本国機関が発行した身分関係証明書です。たとえば配偶者ビザの方なら婚姻関係を証明する戸籍謄本(日本人側)や結婚証明、公証書(外国人側)が必要です。お子さんがいる場合は出生証明、公証書など。
  • 最終学歴の証明書(必要に応じて) – 最終学歴の卒業証書または卒業証明書の写し等も求められることがあります。特に技術系分野で在留している方は提出すると在留履歴の補強になります。
  • 職業および収入を証明する書類 – 申請人(または申請人を扶養する方)の職業と収入を示す証明が必要です。具体的には以下の書類です。
    • 会社員の場合:在職証明書(会社発行の在勤証明)および直近数年分の源泉徴収票、最近の給与明細など。
    • 会社経営者の場合:登記事項証明書(会社の登記簿謄本)、定款写し、営業許可証の写し(業種による)、そして直近5年分の確定申告書控えの写し等。
    • 自営業・フリーランスの場合:収入を示す確定申告書控えや営業実態を示す書類、預金通帳の写しなどを用意します。
    • 無職で配偶者に扶養されている場合:配偶者について上記に準じた収入証明(在職証明・源泉徴収票等)を揃えます。
  • 納税証明関係 – 税の納付状況を確認するために次の書類を揃えます。
    • 住民税の課税証明書および納税証明書 – 原則直近5年分(自治体によっては3年分でよい場合も)を取得します。課税証明書は所得金額、納税証明書は納付状況(未納の有無)が記載されたものです。
    • 納税証明書(その3) – 税務署が発行する国税に関する証明書で、過去に所得税等の未納がないか確認するものです。一般に「その3の証明」と呼ばれ、直近5年分について発行してもらいます。
  • 社会保険の加入・納付証明 – 社会保険(厚生年金・健康保険)加入者の場合、健康保険被保険者証のコピーや直近2年分の年金保険料の領収証書などを用意します。国民年金・国民健康保険に加入していた方は、市区町村から国民年金保険料の納付証明書(直近2年)や国民健康保険料の納付証明書(直近2年)を取得して提出します。要は過去2年間の年金・健康保険料をきちんと納めている証拠が求められるわけです。会社員であれば通常給与天引きされているため証明書提出は省略可ですが、自営業など任意加入期間がある場合は忘れずに揃えましょう。
  • 預貯金残高や資産証明(任意) – 銀行の預金残高証明書や通帳コピー、不動産の登記事項証明書、株式の保有証明など、資産状況を示す資料も提出が推奨されます。特に収入面がギリギリの場合、預金が十分あれば加点材料になります。
  • その他アピール資料(任意) – たとえば日本語能力試験の合格証、業界の資格証、表彰状や感謝状などがあれば提出しましょう。「日本社会に貢献している」「定着している」という印象付けに役立ちます。必須ではありませんが、プラス評価につながる資料は積極的に出すのが得策です。

以上が主な必要書類です。

ケースによってはさらに家族写真や住居の写真(配偶者ビザの実態証明として)、住居の賃貸契約書(現住所の確認のため)などを求められる場合もあります。

提出書類リストは入管の公式サイトに「永住許可申請提出書類一覧表」として掲載されていますので、自分の在留資格区分に応じて漏れなく準備してください。

書類準備のポイント

書類が多岐にわたるため、チェックリストを作成して一つ一つ確実に集めましょう。

特に税証明や年金証明は役所・税務署での発行に時間がかかることがあるため、余裕を持って手配してください。

また外国語の書類(出生証明など)は日本語翻訳文の添付も必要です。

全体としてミスや不備があると受理されなかったり審査が大幅に遅れる原因になりますので、細心の注意を払いましょう。

申請の手続き方法と流れ

申請の手続き方法と流れ

必要書類が揃ったら、いよいよ入管への申請手続きを行います。永住許可申請の大まかな流れとポイントは以下の通りです。

  1. 申請窓口と申請者: 永住許可申請は原則としてお住まいを管轄する出入国在留管理局(入管)で行います。申請人本人が窓口に出頭するのが基本ですが、行政書士など入管取次資格のある代理人に依頼して代行申請してもらうことも可能です。仕事などで平日行けない場合は専門家への依頼も検討すると良いでしょう。
  2. 申請書類の提出: 入管の窓口で書類一式を提出します。窓口担当者が書類をチェックし、不備がなければ受理されます(不備があると持ち帰りとなるので注意)。書類提出時に在留カードとパスポートの提示も求められます。またこの時点では手数料は不要で、手数料の支払いは許可時になります。
  3. 審査期間: 法務省出入国在留管理庁が公表している永住許可申請の標準処理期間は、現在「4か月〜6か月」とされています(書類に不備がなく、スムーズに審査が進んだ場合の目安)。一方で、実務上の審査期間は近年大幅に長期化しており、東京出入国在留管理局では、2025年現在、おおむね1年半前後かかるケースが多いと報告されています。地方の入管では、6〜10か月程度で結果が出る事例もあります。このため、永住申請を行う際は「少なくとも半年〜1年程度、場合によってはそれ以上かかる」と見込んだうえで、現在の在留期限や家族のビザ更新のタイミングを含め、余裕をもって計画することが重要です。
  4. 結果通知と手数料: 審査の結果、永住許可が下りると入管からハガキで「許可通知」が届きます。不許可の場合もその旨通知があります。許可通知を受け取ったら、在留カード交付のため入管窓口に出頭します。持参するものは通知ハガキ、パスポート、在留カード、そして収入印紙1万円分です。以前は手数料8,000円でしたが2025年4月1日以降の申請分から10,000円に改定されています。収入印紙は入管内の売店等で購入できます。窓口で印紙を提出し、新しい在留カード(「永住者」資格記載)を受け取ります。
  5. 不許可だった場合: 残念ながら不許可となった場合も、すぐに再申請は可能です。ただし理由を分析せずに再提出しても結果は変わりません。拒否理由は通知書に簡単にしか書かれていないため、必要に応じて入管に問い合わせて詳細を確認しましょう。多くの場合、収入不足や納税未納、在留歴不足、書類不備などが原因です。問題点を是正した上で、一定期間後(一般には6か月〜1年後くらい)に再チャレンジすると良いでしょう。不許可歴があっても改善が認められれば許可が下りるケースもあります。

オンライン申請について: 近年、一部の在留資格申請でオンライン手続きが可能になっていますが、永住許可申請は現時点(2025年)ではオンライン対象外です(原則窓口申請のみ)。ただし企業経由で在留期間更新等をオンライン申請できる高度専門職の方なども、永住については紙申請となりますので注意してください。

身元保証人についての注意

身元保証人についての注意

永住申請には身元保証人の存在が必要不可欠です。身元保証人になれるのは日本在住の日本人または永住者で、一般的には配偶者が日本人であればその配偶者、それ以外の場合は勤務先の上司・同僚、友人、親族などに頼むケースが多いです。

保証人には法的な金銭保証義務はなく、あくまで道義的責任を負う立場です。

具体的には「申請者が日本で法を守り義務を果たすよう助言・支援する」役割であり、もし申請者が問題を起こした際に連帯責任を問われたり損害賠償を負うことはありません。

  • お願いするときのポイント: 保証人を引き受ける側にとって大きなリスクはありませんが、心理的な負担を感じる方もいます。「刑事責任や賠償責任はなく、あなたに実害は及びません。ただ万一のときには助言をお願いします」という趣旨をきちんと説明し、安心して引き受けてもらえるようにしましょう。
  • 提出書類の簡素化: 以前は保証人本人の課税証明書や在職証明書なども提出が必要でしたが、2022年6月以降、保証人に関する資料は原則として身元保証書」と保証人本人の身分証コピー(運転免許証やマイナンバーカード等)だけで良くなりました。余計な負担をかけずに済むようになっていますので、お願いしやすくなったと言えるでしょう。

まとめ

まとめ

日本の永住権を取得することは、将来にわたって日本で安心して暮らすための大きな一歩です。

専門家として最後に、永住権申請を成功させるための重要ポイントをまとめます。

  • 公式ガイドラインの熟読: 永住許可の審査基準は法務省が公表する「永住許可に関するガイドライン」に明記されています。まずは自分がその要件を満たしているかセルフチェックしましょう。足りない部分があるなら申請を急がず、条件を満たすまで計画的に準備することをおすすめします。
  • 書類準備と事前確認: 提出書類は非常に多いですが、不備なく揃えることが肝心です。役所発行書類の取得漏れがないか、期限切れの書類が混ざっていないか、提出フォーマットに沿っているか等、提出前に第三者にチェックしてもらうくらいの慎重さで臨みましょう。完璧な書類はそれだけで審査官への信頼感に繋がります。
  • 素行・公的義務のクリア: 過去の違反歴や滞納がある場合、そのままでは許可は難しいでしょう。交通違反はしばらく起こさないで時間を置く未納税・未納年金は全て完納・追納するなど、汚点を可能な限り解消してから申請することが大切です。日々の生活でも遵法意識を持ちましょう。
  • 収入要件の対策: 年収が基準にわずかに届かない場合でも、配偶者の収入合算貯金額のアピールなどでカバーできます。理由書で将来の昇給見込みや支出削減計画を書くのも一案です。審査官に「この世帯なら今後も日本で自立して暮らせる」と思ってもらえる材料を揃えましょう。
  • 専門家への相談: 永住権申請は一回限りの大事な申請です。不安が大きい場合は行政書士などビザ専門家に相談・依頼するのも有効です。プロは過去の事例から審査のポイントを熟知していますし、書類作成や入管とのやり取りも任せられます。費用はかかりますが、不許可になって出直すリスクを減らせるメリットがあります。

以上、「永住権申請」に関する必要な情報を網羅的に解説しました。

この記事が皆様の疑問解消に役立ち、日本での永住権取得という目標の実現に繋がれば幸いです。

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