
「特定技能って、技能実習みたいに会社ごとの人数枠があるのかな?」と不安になる方は多いです。
結論から言うと、特定技能は、受入れ機関(企業)ごとに一律の人数上限は原則設けられていません。
一方で、介護・建設は分野固有の人数条件があり、さらに制度運用上は分野別の「受入れ見込数」を受入れ条件として運用すると示されています。
この3つを切り分けて理解すると、「結局うちは何人まで?」という疑問に対する回答がわかりやすくなります。
特定技能の受入れの3つの上限
【上限1】会社(受入れ機関)ごとの上限
出入国在留管理庁のQ&Aでは、技能実習のような「受入れ機関ごとの受入れ数の上限はありません」と明記されています。(参考:出入国在留管理庁ホームページ『特定技能制度に関するQ&A Q34』)
つまり、多くの分野では「従業員数に応じた枠があるから何人まで」といった考え方は基本的に取りません。
ただし、ここで安心して終わらないのがポイントで、次の「分野ルールの例外」と「国の見込数」をあわせて確認する必要があります。
【上限2】介護・建設など「分野ルールによる上限」
例外の代表が介護分野と建設分野です。
出入国在留管理庁のQ&Aでも「ただし」として分野別運用方針に基づく人数制限が示されています。
- 介護:事業所で受け入れることができる1号特定技能外国人は、事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること
- 建設:特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人の数が、特定技能所属機関の常勤の職員(外国人技能実習生、1号特定技能外国人を除く。)の総数を超えないこと
【上限3】国(分野別)の「受入れ見込数」
もう一段上にあるのが、国が分野ごとに示す受入れ見込数です。
法務省(出入国在留管理庁)の閣議決定資料では、分野ごとに「5年間の受入れ見込数」を設定し、(大きな経済情勢の変化がない限り)1号特定技能の受入れ上限として運用する趣旨が示されています。
また、2026年1月23日の政府側説明(首相官邸)でも、生産性向上や国内人材確保の取組を強化してもなお不足すると見込まれる人数として受入見込み数を設定し、これを外国人受入れの条件として運用する旨が述べられています。
さらに、出入国在留管理庁のQ&A(育成就労制度Q&A)には、令和10年度末までの受入れ見込数として約123万人(内訳:特定技能外国人80万5,700人・育成就労外国人42万6,200人)といった具体的な数字も示されています。
| 上限の種類 | 何に対する上限か | 結論(ポイント) | 公式に確認できる根拠 |
|---|---|---|---|
| ① 会社ごとの上限 | 受入れ機関(会社)単位 | 原則:上限なし | 出入国在留管理庁Q&A「受入れ機関ごとの上限はありません」 |
| ② 分野ルールの上限 | 介護・建設など一部の分野 | 介護・建設は例外的に上限の考え方あり | 介護:事業所単位で日本人等の常勤介護職員数が上限/建設:常勤職員数を超えない |
| ③ 国(分野別)の受入れ見込数 | 分野ごとの「見込数」(制度運用の枠) | 見込数を上限として運用する趣旨 | 閣議決定資料(上限として運用)/政府説明(条件として運用) |
分野別チェック表
ここで迷いがちな方は、「会社の上限」だけを見て安心してしまい、あとから「介護・建設だった…」となりがちです。
最初にこの表で分岐してください。
| 分野 | 会社ごとの人数上限 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 介護 | 原則の「上限なし」とは別に、事業所単位の上限がある | 日本人等の常勤介護職員数が上限(事業所単位) |
| 建設 | 原則の「上限なし」とは別に、常勤職員数との関係で上限がある | 1号特定技能(+対象者)の合計が常勤職員数を超えない |
| 上記以外(多くの分野) | 会社ごとの上限は原則なし | 国の受入れ見込数(分野別) |
介護分野の上限
介護分野では、事業所で受け入れできる1号特定技能外国人について、事業所単位で「日本人等の常勤介護職員の総数」を上限とする考え方が示されています。
ここがポイントで、「法人全体」ではなく「事業所単位」です。
複数事業所を持つ法人の場合、事業所ごとに考えます。
「日本人等」とは誰を指す?
公式ページの表現は「日本人等」ですが、実務では「誰が常勤介護職員として数えられるのか」が肝になります。
まずは、出入国在留管理庁が示す「日本人等の常勤介護職員数を上限」というルールそのものを押さえた上で、具体のカウントは、各事業所の雇用形態・就労実態に沿って確認します。(ここは施設の状況で判断が分かれやすいので、運用要領や所管省庁の案内もあわせて確認するのが安全です。)
介護の上限は「日本人等の常勤介護職員数」と同数が上限、というイメージで捉えると分かりやすいです。
建設分野の上限(常勤職員数との関係)
建設分野では、受入れ企業(特定技能所属機関)ごとに人数枠の条件があります。
分野別運用方針(案)では、「特定技能1号」で受け入れる外国人の数が、受入れ企業の常勤職員数(※技能実習生・育成就労外国人・1号特定技能外国人を除く)を超えないことが条件とされています。
なお、優良な育成就労実施者に該当する企業は、この人数条件の適用が除外される旨も示されています。
また、建設分野の申請実務上の「常勤(フルタイム)」は、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の公開マニュアル上、原則として「週5日以上・年間217日以上・週30時間以上」が目安とされています。(参考:一般社団法人建設技能人材機構 外国人受け入れマニュアル『常勤職員数を明らかにする文書』)
常勤職員数の考え方
建設分野の実務では、「常勤職員数」の定義があいまいなままだと、最初の見積りがズレやすいです。
JACの解説では、特定技能制度における常勤(フルタイム)の目安として、週5日以上・年間217日以上・週30時間以上といった考え方が紹介され、申請にあたっては運用要領の基準に沿って数える旨が示されています。
また同マニュアルでは、建設の人数制限に関して、ここでいう常勤職員には1号特定技能外国人や技能実習生等を含めない旨も説明されています。
技能実習の「人数枠」と何が違う?
この質問が多いのは、技能実習では「会社の規模(常勤職員数など)に応じた枠」を意識する場面があるためです。
その感覚のまま特定技能を見てしまうと、「特定技能も何人まで?」となりやすいのですが、出入国在留管理庁のQ&Aでは、特定技能は受入れ機関ごとの上限は原則ないとされています。
一方で、介護・建設は例外として分野別運用方針等で人数制限の考え方が置かれているため、「原則」と「例外」をセットで覚えるのが安全です。
「国の受入れ見込数」とは
受入れ見込数は、分野別運用方針等で示され、制度運用上は受入れの条件として扱われます。
2026年1月23日の政府説明では、特定産業分野を19分野、育成就労産業分野を17分野とした上で、令和10年度末までの受入見込み数を設定し、両制度の受入れ条件として運用する旨が示されています。(参考:内閣官房内閣広報室ホームページ『外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議』)
なお、厚労省資料の表では、2024年3月設定値(参考:特定技能820,000)と併せて、精査後の見込みとして 特定技能805,700/育成就労426,200(合計1,231,900) が示されています。(参考:厚生労働省資料『特定技能制度及び育成就労制度の受入れ見込数について(案)』
| 分野 | 特定技能 受入れ見込数 | 育成就労 受入れ見込数 | 分野全体 |
|---|---|---|---|
| 介護 | 126,900 | 33,800 | 160,700 |
| ビルクリーニング | 32,200 | 7,300 | 39,500 |
| 建設 | 76,000 | 123,500 | 199,500 |
| 造船・舶用工業 | 23,400 | 13,500 | 36,900 |
| 自動車整備 | 9,400 | 9,900 | 19,300 |
| 宿泊 | 14,800 | 5,200 | 20,000 |
| 自動車運送業 | 22,100 | ― | 22,100 |
| 農業 | 73,300 | 26,300 | 99,600 |
| 漁業 | 14,800 | 2,600 | 17,400 |
| 外食業 | 50,000 | 5,300 | 55,300 |
| 林業 | 900 | 500 | 1,400 |
| 木材産業 | 4,500 | 2,200 | 6,700 |
| 工業製品製造業 | 199,500 | 119,700 | 319,200 |
| 航空 | 4,900 | ― | 4,900 |
| 鉄道 | 2,900 | 1,100 | 4,000 |
| 飲食料品製造業 | 133,500 | 61,400 | 194,900 |
| リネンサプライ | 4,300 | 3,400 | 7,700 |
| 物流倉庫 | 11,400 | 6,900 | 18,300 |
| 資源循環 | 900 | 3,600 | 4,500 |
| 合計 | 805,700 | 426,200 | 1,231,900 |
※上の表の「自動車運送業」「航空」は、官邸説明でも示されているとおり 特定産業分野のみ(育成就労産業分野には含まれない整理)です。また、新設分野の一部は「令和8年度から令和10年度までの3年間」として受入れ見込数が書かれている例があります(例:リネンサプライ)。
企業側が現場で気にすべきポイント
会社ごとの上限が原則ない分野でも、国の受入れ見込数は「分野別に運用の枠をどう設計するか」という話につながります。
政府説明では、生産性向上・国内人材確保を行ってもなお不足すると見込まれる人数をもとに受入見込み数を設定し、条件として運用する考え方が述べられています。
ですので、採用を急ぐほど、最新の分野別運用方針や公表資料を定期的に確認しておくと安心です。
よくある質問
Q1:結局、特定技能は何人まで雇えますか?
受入れ機関(会社)ごとの受入れ数の上限は原則ありません。まずここが出発点です。
ただし介護・建設は例外的に人数制限の考え方があり、さらに国の受入れ見込数という別レイヤーもあるため、「自社の分野」と「国の枠」をセットで確認すると迷いません。
Q2:介護分野の上限はどうやって決まりますか?
介護分野は、事業所で受け入れできる1号特定技能外国人について、事業所単位で「日本人等の常勤介護職員数」を上限とする考え方が示されています。
Q3:建設分野の上限はどう決まりますか?
国土交通省資料で、1号特定技能外国人(と外国人建設就労者との合計)の数が常勤職員数を超えないことが示されています。
実務では、常勤職員の数え方や合計対象の範囲を誤らないことが重要です。
Q4:国の受入れ見込数(上限)に達したら、すぐ受入れできなくなりますか?
受入れ見込数は、政府説明で「条件として運用する」旨が述べられており、運用上の調整に用いられる枠です。
ただ、実務でどう調整されるかは分野別運用方針や運用要領の更新で変わり得るため、最新の公表資料を確認することが大切です。
Q5:結局、自社はどこを見ればいいですか?
最初に「介護・建設かどうか」を確認し、該当する場合は各分野の人数制限ルール(上で解説した基準)を当てはめます。該当しない場合は「会社ごとの上限は原則なし」を起点に、国の受入れ見込数(分野別)の動きも確認すると計画が立てやすくなります。
まとめ

特定技能の受入れ人数は、まず「会社ごとの上限」と「分野ルールの上限」と「国の受入れ見込数」を分けて考えると、混乱がなくなります。
特定技能は、企業ごとに一律の受入れ上限人数がある制度ではありません。
ただし、介護・建設など一部の分野は、常勤職員数等に基づく人数条件が設けられています。
また政府説明では、分野別に令和10年度末までの受入見込み数を設定し、両制度の受入れ条件として運用することが示されています。
受入れ見込数(案)の全体像としては、特定技能805,700人+育成就労426,200人=計1,231,900人という整理が公表資料で示されています。
※特定技能に関しては、ルールの変更も頻繁に行われるため、出入国在留管理庁ホームページなどで、必ず最新情報をご確認下さい。
特定技能に関しましては以下のページで詳しくご説明していますので、ご参照下さい。





