経営管理ビザ申請が不許可になった場合の対処法

在留資格申請が不許可になった時は、本当に精神的にもダメージを受けます。

「もう、在留資格は取れないかも・・・」と不安になってしまうこともあるかもしれません。

しかし、適切な対応をすることで、再申請で許可になるケースはたくさんあります。

それでは、在留資格ビザ申請で不許可になった時に、どのように対応すればよいのかを判りやすくご説明したいと思います。

経営管理ビザ申請が不許可になる5つ理由

在留資格ビザ申請をして不許可になった場合、必ず理由があります。

「今日は気分が悪いから、こいつを不許可にしてやろう」なんて理由で不許可にされることはありません。

ですから、何故不許可になったのかの理由を知ることが一番重要です。

不許可になる理由はたくさんあると思いますが、特に気をつけなければいけない5つの理由を以下にご紹介したいと思います。

それでは、不許可になる理由として考えられるものを見てみましょう。

立証が不十分な場合

立証が不十分な場合

出入国在留管理庁のホームページには経営管理ビザの申請に必要な書類が書かれています。(法務省:経営管理

それでは、ここに書かれている書類を提出すれば良いのかといいますと、それだけでは不十分な場合もあるのです。

実際、私自身もホームページに書かれている書類だけで申請したことはありません。

経営管理ビザの申請は会社の資本金の出所やどのように資金を貯めたのかを立証する必要があります。

そういった添付書類を付けずに申請をした場合には立証不十分で不許可になる可能性もあります。

また、提出した資料に偽装の疑いがある場合なども不許可になる可能性があります。

要件を満たしていない場合

たとえば、経営管理ビザには以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 500万円以上の投資をすること
  • 2名以上の常勤職員を雇用すること

2名以上の常勤職員は、日本人、特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の方でなければなりません。

また、常勤というのはアルバイトなどではなく、正社員のことを指します。

これ以外にも以下でご紹介する事業所の確保などの経営管理ビザ取得の要件を満たしていない場合は不許可になります。

事業の安定性・継続性が認められない場合

事業の安定性・継続性が認められない場合

経営管理ビザで最も重要なのは「事業の安定性と継続性」です。

ここで重要になるのが事業計画です。

例えば、「日本に住みたいけど、経営管理以外の在留資格の要件を満たす学歴や職歴、技能がないので、500万円の資本金で会社を作って経営管理ビザを申請しよう」と考えたとします。

その会社の事業内容を、「食品の輸出入」と計画したとしましょう。

その場合、あなたのどのような人脈や経験を活かして、食品の輸出入ビジネスを安定して継続させるかを立証する必要があります。

「とにかく日本に住んでから考えます」とか「必死に1日20時間以上働いて稼ぎます」というような主観的な説明では立証不十分となって、経営管理ビザの在留資格申請が不許可になる可能性があります。

事業計画は、経費などもかなり細かく計画を建てる必要があります。

事業計画をいい加減に書いてしまうと、経営管理ビザの申請の許可がおりる可能性は低いと考えて良いと思います。

事業所の確保(存在)が認められない場合

経営管理ビザ申請をする上で、会社の事務所を確保しておくことは非常に重要です。

会社を設立するだけであれば、自宅兼事務所でも設立できますし、バーチャルオフィスのように住所だけ借りて登記することで会社を設立することもできます。

しかし、経営管理ビザの要件として、以下のような事務所を確保することが必要となります。

  • 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
  • 財貨及びサービスの生産又は提供が,人及び設備を有して,継続的に行われていること。

ちょっと判り難いと思いますので、簡単にご説明します。

「事業を継続的に運営する」ことが経営管理ビザの要件です。

ですから、1ヶ月のように月単位で借りる短期の賃貸スペースなどは「継続的に運営する」場所とは言えないので、事務所とは認められません。

同じ理由で簡単に処分出来る屋台みたいな建物も事務所とは認められません。

事務所として使用するので、賃貸物件の場合は、賃貸借契約書に、使用目的が「事業用、店舗、事務所等」と明記して、契約者も法人名義で契約されている必要があります。

住居として賃借している物件の一部を使用して事業が運営されるような場合には、以下の要件が求められています。

  • 貸主が住居目的以外での使用を認めていること
  • 借主も当該法人が事業所として使用することを認めていること
  • 当該法人が事業を行う設備等を備えた事業目的占有の部屋を有していること
  • 当該物件に係る公共料金等の共用費用の支払に関する取決めが明確になっていること
  • 看板類似の社会的標識を掲げていること

事務所の確保に関して不許可となった事例を以下ご紹介します。

経営管理ビザ不許可事例1

郵便受け、玄関には事業所の所在を明らかにする標識等はなく、室内においても、事業運営に必要な設備・備品等は設置されておらず、従業員の給与簿・出勤簿も存在せず、室内には日常生活品が有るのみで事業所が確保されているとは認められなかったもの

経営管理ビザ不許可事例2

2階建てアパートで郵便受け、玄関には社名を表す標識等はなかった。

また、居宅内も事務機器等は設置されておらず、家具等の一般日常生活を営む備品のみであったことから事業所が確保されているとは認められなかったもの。

経営管理ビザ不許可事例3

在留資格申請で提出された資料から事業所が法人名義でも経営者の名義でもなく従業員名義であり同従業員の住居として使用されていた。

当該施設の光熱費の支払いも同従業員名義であったこと及び当該物件を住居目的以外での使用することの貸主の同意が確認できなかったことから事業所が確保されているとは認められなかったもの。

事務所と居宅が同じ建物の場合、かなり審査が厳しくなります。

出来る限り、自宅と事務所は別にされることをお勧めします。

事業内容が違法(又はグレーゾーン)の場合

事業内容が違法(又はグレーゾーン)の場合

自分では合法だと思っていたものが実は違法ビジネスだったということもあります。

違法ビジネスと聞くと、麻薬や密輸のようなものを連想されるかもしれませんが、実は「え?それって違法なんですか?」というものもあります。

例えば、住宅宿泊事業法が制定される前の「民泊」ビジネスがあります。

2018年6月15日住宅宿泊事業法施行までは、継続して宿泊客に有料で宿泊施設を提供するには旅館業の営業許可(国家戦略特区の場合は特区民泊の認定)を受けなければいけませんでした

無許可(又は無認可)の施設をインターネットの民泊仲介サイトで貸し出すようなビジネスは違法になります。

たとえ大家さんから民泊の営業の了解をもらっていても、行政への届け無しで営業することは違法になります。(詳しくは、民泊の教科書』をご参照下さい。)

インターネットの仲介サイトで堂々と何千室もの部屋が民泊として貸し出されているので、これをすべて合法と勘違いしてしまう方も多いのではないかと思います。

特に外国人の方であれば、なおさらです。

しかし、実際には無届けでの営業は違法になります。

このように、ご自身では合法と思って申請したビジネスが、実は違法ビジネスで経営管理の在留資格ビザが不許可になるというケースもあります。

経営管理ビザの不許可の理由の確認方法

それでは、実際に何故不許可になったのかを、どのように確かめればいいのでしょうか。

これは、出入国在留管理庁へ直接聞きに行きます。

それなら、「不許可の理由を自分で考える前に聞きに行けばいいじゃないか!」と思われるかもしれませんが、先に不許可になる可能性がある理由をご説明したのには訳があるのです。

【注意点1】適切な質問をする

【注意点1】適切な質問をする

出入国在留管理庁の審査は個別事案として、個々の状況に応じて許可の可否を入管の裁量で判断されます

また、出入国在留管理庁の審査官は不許可理由を申請者に説明する義務はありません。

出入国在留管理庁の審査官に不許可の理由を確認するために会ったとしても、事細かく説明してくれるとは限らないと思った方が良いと思います。

ですから、不許可になった理由を予想して、こちらから審査官に適切な質問をする必要があるのです。

再申請をするために必要な情報を聞き洩らさないように、丁寧にヒアリングしましょう。

【注意点2】不許可にしたことに対してクレームを言わない

出入国在留管理庁の審査官に在留資格申請の不許可の理由を確認するために会った時に、何故不許可なのかクレームをつけたり、怒ったりする方がいらっしゃいますが、それは逆効果です。

文句を言って不許可が許可に変わるのであれば、審査官を出来るだけ脅迫できる人がくれば許可が出るということになってしまいますよね。

それは、ありえません。

不許可の理由確認は、あくまで、再申請のための作業です。

最初の申請の不許可を取り消してもらう作業ではありません。

感情的になると、必要な情報まで聞けなくなってしまう可能性がありますので、クレームをつけて怒るようなことは絶対にやめましょう。

経営管理ビザの再申請

経営管理ビザの再申請

在留資格申請は一度不許可になると、2回目以降の審査は厳しくなります。

ですから、不許可になった理由を出るだけ正確に確認することが非常に重要なのです。

1回目の申請で不許可になった理由が1つとは限りません。

不許可の確認で1つだけ理由が判明したとしても、その他の不許可理由が無いかも確認しておく必要があります。

先程ご説明しましたように、入国管理局の審査官は不許可の理由を申請者に全て丁寧に細かく説明する義務はありません。

こちらから、出来るだけいろいろな角度から確認することで、再申請のための情報を入手できるのです。

入国管理局の審査官からの聞き取りを基に、不許可になったと思われる理由を改善して、再申請をしましょう。

まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。

在留資格申請の不許可通知を受け取る時は、本当に精神的なショックも大きいと思います。

しかし、きちんと不許可の理由を確認して、それを修正して再申請することで許可がおりることもあります。

不許可になったとしても、あきらめずに許可が出るための正しい対処法を取るように心掛けましょう。