長い間、日本に滞在していて、これからもずっと日本で生活をしていこうと考えている方は、「永住者」の在留資格について興味を持つと思います。
そこで、「永住者」という在留資格がどのようなものなのかをわかりやすくご説明したいと思います。
永住者ビザとは
「永住許可」とは、在留資格を有する外国人が「永住者」への在留資格の変更を希望する場合に法務大臣が与える許可であり、在留資格変更許可の一種です。
「永住者」の在留資格は、在留活動及び在留期間のいずれも制限されないという点で、他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。
その為、永住許可については、通常の在留資格の変更よりも慎重に審査する必要がある為、必要な条件や必要な書類がとても多くなります。
また、永住許可申請に係る審査中に在留期間が経過する場合は、在留期間満了日までに別途在留期間更新許可申請をする事が必要となりますので注意しましょう。
それでは、詳しく説明をしていきましょう。
「永住者」の審査ポイント
「永住者」に係る在留資格の該当性については、主に
- 素行が善良であること
- 独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
という、3点に基づいて審査されます。
【ポイント1】素行が善良であること
まず、1つ目ポイントの「素行が善良であること」です。
日本の法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることを意味します。
簡単に説明しますと、日本の法令に違反していなければ「素行が善良である」という事になります。
この違反について、重い罪となる法令違反は当然ですが、軽微な法令違反であっても、同様の行為を繰り返し行う者や地域社会に多大な迷惑を及ぼす活動を繰り返し行う者等がこれに該当します。
例えば、道路交通法違反(スピード違反など)の場合でも、繰り返し行えば、素行善良要件を満たさないとされ、不許可になる可能性が高くなります。
また、「家族滞在」の在留資格で資格外活動許可を得ていても、週28時間を越えて労働している場合があれば、やはり、不許可になる可能性が高くなります。
日本の法律をしっかり守って行動するようにしましょう。
【ポイント2】独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
次に、2つ目のポイントの「独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」です。
日常生活において公共の負担になっておらず、かつ、その者の職業又はその者の有する資産等から見て将来において安定した生活が見込まれることを意味します。
この独立生計要件は、必ずしも申請人自身が要件を満たす必要はなく、申請人が配偶者等とともに構成する世帯単位で見た場合に安定した生活を続けることができると認められる場合には、これに適合するものとして扱われます。
また、「経営・管理」の在留資格から「永住者」の在留資格へ変更したい場合は、経営する会社の安定性及び継続性も審査され、経営する会社について欠損が連続しているような場合は、不許可となる可能性が高くなってしまいます。
この判断基準として、年収が300万円に満たない場合は、不許可の可能性がとても高くなってしまいます。
【ポイント3】その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
そして、3つ目のポイントの「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」です。
まず、原則として、引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。
また、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって継続して5年以上在留していることを要します。
その為、10年以上日本に在留していても、「留学」又は「技能実習」の在留資格での在留期間が5年以上の場合は、要件に満たしません。
なお、「引き続き」とは、在留資格が途切れることなく在留を続けることをいいます。
再入国許可(みなし再入国許可を含む)を受けて一時的に海外に赴く場合は、在留が継続していることになりますが、再入国許可を受けずに出国したり、海外滞在中に再入国許可が失効したりすると、在留資格は消滅し、在留が継続していることになりません。
上記以外にも、細かい規定や例外がありますので、詳しく知りたい場合はお問い合わせ下さい。
「永住者」の在留資格取得後の注意事項
「永住者」の在留資格を取得しても、以下の5つの事項に該当する場合は、取り消される場合があります。
① 申請内容に虚偽がある場合
上陸許可や在留資格を申請する際に、虚偽の情報で変造文書等を作成・提出して在留資格を得た場合いは、取消し対象となります。
② 再入国許可を受けていない場合
永住許可を受け「永住者」の在留資格を得た後でも、再入国許可を取得せずに出国した場合や、出国後に再入国許可の期限が経過した場合には、「永住者」の在留資格を失いますのでご注意下さい。
③ 居住地登録をしない場合
日本に3ヶ月以上滞在する外国人は、入国後14日以内に、居住する市町村で住民登録しなければなりません。
しかし、永住者が90日を越えて転出届や転入届を提出しない場合、あるいは虚偽の届出をした場合には、「永住者」の在留資格が取り消されるのでご注意下さい。
④ 在留カードの有効期間更新申請手続をしなかった場合
「永住者」の在留期間は無期限ですが、在留カードには有効期間があります。
もし、在留カードの更新手続きを行わなかった場合、「永住者」の在留資格は取り消されます。
⑤ 懲役や禁錮に処せられた場合
永住者が、懲役や禁錮に処せられた場合には、退去強制になることがあります。
強制退去処分になれば、「永住者」の在留資格は取り消されてしまいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「永住者」の在留資格を取得するために必要な条件はお分かり頂けたでしょうか?
「永住者」の在留資格を得ると、日本での在留期間や活動の制限が無くなり、ビザの更新手続きや、次回の申請で不許可になる不安からも開放されますね。
ここでは、「永住者」の在留資格の基本的な条件を書いていますが、さらに細かい規定や、例外もありますので、詳しく知りたい場合は、お問い合わせ下さい。