在留資格「留学」から「日本人の配偶者等」へ変更する時の注意点
在留資格「留学」から「日本人の配偶者等」へ変更する時の注意点

留学ビザから配偶者ビザへの変更

日本で留学ビザ(在留資格「留学」)により在学中の外国人が日本人と結婚した場合、在留資格を「日本人の配偶者等」(いわゆる配偶者ビザ)に変更することができます。

配偶者ビザに変更すると、在留活動の制限が大幅に緩和され、アルバイト時間の週28時間制限も撤廃されるなど就労制限がなくなり、将来的には永住許可申請を検討できる場合もあります。

例えば「日本人の配偶者」等については、原則10年在留の要件に特例があり、実体を伴う婚姻が3年以上かつ日本に1年以上在留などの条件を満たすと申請を検討できるとされています(ただし、在留期間の要件等、他の条件もあります)。

しかし、そのメリットを得るためには、変更申請の際にいくつか注意すべきポイントがあります。

本記事では、留学ビザから配偶者ビザへ変更する際の注意点をやさしく解説いたします。

手続き概要と必要書類

配偶者ビザへの在留資格変更手続きは、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署(地方出入国在留管理局等)に対して、在留資格変更許可申請を行います。

申請から結果が出るまでの期間は事案により異なりますが、標準処理期間は1か月〜2か月と案内されています。(内容や追加資料の有無により前後します。)

申請は現在の在留期限内に行う必要があります。

ただし、在留期間満了日までに申請していれば、いわゆる「特例期間」により、処分がされる日または在留期間満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日までは引き続き在留できる取扱いがあります。

申請時に提出すべき主な書類は以下のとおりです。

提出書類は多岐にわたりますが、不備のないよう事前にしっかり準備しましょう。

特に、日本人配偶者に関する書類や経済力を証明する書類が重要です。

提出書類説明
在留資格変更許可申請書所定の申請用紙。申請人(外国人本人等)が署名し、作成年月日を記入します。
写真(縦4cm×横3cm)申請前3か月以内に撮影したもの。申請書に貼付します。
日本人配偶者の戸籍謄本婚姻事実の記載がある戸籍謄本を1通用意します。婚姻の記載がまだ無い場合(海外で先に結婚し未届けの場合)は、戸籍謄本に加えて婚姻届受理証明書を提出します。
申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書国・地域により提出書類の形が異なるため、案内に従って準備します。
質問書結婚に至る経緯等を詳しく記入する書面です。配偶者ビザ申請では変更申請の場合もこの質問書の提出が求められます。お互いの出会いから結婚に至るまでの経緯、コミュニケーション言語、結婚式の有無、親族の紹介状況などを8ページ程度のフォームに記載します。
身元保証書日本人配偶者が保証人として署名する書面です。「配偶者として責任をもって生活を支援し、在留中の法令遵守を見守る」ことを約束する内容で、所定の様式があります。
住民票(日本人配偶者の世帯全員分)日本人配偶者の世帯全員が記載された住民票です。婚姻後は通常夫婦が同一世帯になるため、その世帯の全員(夫婦双方)が載ったものを提出します。
生活費の支弁能力を証明する書類夫婦の経済力を示す資料です。一般的には日本人配偶者(扶養者)の直近1年分の住民税課税証明書および納税証明書を提出します。これにより年収や納税状況を証明します。日本人配偶者に収入がない場合や収入が低い場合は、預貯金残高証明や内定通知書などで生活費を賄える見込みを示す必要があります。
結婚の実態を示す資料入管に夫婦関係の真実性を理解してもらうための資料です。例えば二人で写ったスナップ写真(2〜3枚)や、結婚式・披露宴の写真、SNS上でのやり取りの記録、国際電話やメールの履歴などがあります。短期間の交際で結婚した場合や、遠距離恋愛を経ている場合などは特に丁寧に用意すると良いでしょう。
申請人(外国人)のパスポート・在留カード有効なパスポートと在留カードを提示します。申請窓口で原本提示し、必要に応じて写しを提出します。

(上記は一般的な必要書類です。ケースにより追加書類が求められる場合があります。)

以上の書類を揃え、管轄の出入国在留管理局に申請します。

書類は漏れなく正確に用意し、不明点があれば事前に専門家に確認すると安心です。

特に質問書は記載量が多いため、時間に余裕をもって準備しましょう。

なお、許可される場合は手数料が必要です(例:窓口申請6,000円、オンライン申請5,500円。収入印紙で納付。制度改定があるため最新案内を確認してください)。

審査で見られるポイントと注意点

在留資格変更の審査では、新規入国(在留資格認定証明書)とは異なり、現在までの在留状況も含めた総合的な評価が行われます。

具体的には「現在有する在留資格に応じた活動を行っていたか」「素行に問題はないか」「生計を維持できる経済力があるか」など、いくつかの観点でチェックされます。

以下では、留学ビザから配偶者ビザへ変更する際に特に注意すべきポイントを順に説明します。

該当する事項がある場合は、対策や準備をしっかり行いましょう。

学業への取り組み状況

現在の留学ビザで本来の活動(学業)をきちんと行っているかが審査の基本ポイントです。

留学生である以上、「ちゃんと学校に通っているか」という点を入管は重視します。

もし在学中に退学・中途退学して長期間経過しているような場合、「留学」の在留目的を果たしていないと判断され審査上マイナスになります。

従って、日本人と結婚した後でも、卒業まではしっかり在学を続けることが望ましいです。

万一、諸事情で学校を辞めてしまった場合には、そのままでは在留資格変更が認められない可能性が高いため、一度母国に帰国してから配偶者ビザの在留資格認定証明書交付申請(いわゆる呼び寄せ手続き)を行うことも検討すべきです。

入管当局としては、留学生が「勉強を投げ出してビザだけ得ようとしている」と受け取れる状況に警戒します。

そのため、「結婚したから退学する」という選択は大きなリスクを伴う点に注意してください。

一方、卒業前に結婚し、そのまま在学を続けるケースでは、引き続き学業に専念する意思を示すことが重要です。

具体的には、「卒業までに必要な単位取得計画」「勉強方法の改善策」「日本人配偶者からの学業支援(例えば語学や生活面での協力)を得ていること」などを、申請時に書面で説明すると良いでしょう。

学業の実施状況(在学状況、成績、出席状況など)が確認されることがあり、出席不良や退学などで「留学」の活動実績との整合性が説明できない場合は不利になり得ます。

数値基準を一律に断定するのではなく、事情(病気・家庭事情等)がある場合は資料を添えて具体的に説明しましょう。

留学中の素行・違反歴

在学中の素行の良否も重要なチェックポイントです。

留学生として法律や校則を守り、真面目に生活していたかという観点で審査されます。

具体的には、資格外活動(不法就労)など入管法違反をしていないか、飲酒絡みのトラブルや刑事処分を受けるような問題行動がないか、といった点です。

不法就労の斡旋や重大な犯罪行為などは退去強制事由にもなり得るため論外ですが、そこまででなくとも広い意味での「素行」が評価対象になります。

例えば留学中の成績不振や出席率の悪さも、「素行が不良」と見なされる可能性があります。

極端なケースでは「学校に行きたくないから日本人と結婚したのでは?」と疑われ、不許可のリスクが高まります。

また、アルバイトの時間超過も注意が必要です。

「留学」の資格外活動許可(包括許可)の場合、原則は1週28時間以内ですが、教育機関の長期休業期間中は1日8時間以内とされています。

にもかかわらず長時間働いて学業がおろそかになっている場合、素行不良と判断されかねません。

入管は提出された税金の証明書などからアルバイト収入額を把握し、28時間制限を超えていないか推測しています。

アルバイト収入が大きい場合、就労時間の管理状況によっては28時間制限の超過を疑われる可能性があります。

時給・勤務実態・長期休業期間中の就労分などを整理し、説明できるようにしておきましょう。

POINT‼

日頃から法律や学校の規則を遵守し、真面目に生活することが何より重要です。特に結婚ビザ目的での軽率な退学や過度なアルバイトは将来の在留資格に直結する問題となるため、「留学生」という立場を最後まで全うする姿勢を示しましょう。

経済力・生活基盤の証明

夫婦として自立した生活を営めるかも審査の重要ポイントです。

入管は申請人本人および配偶者の収入や預貯金を見て、「日本で安定した生計を立てられるか」を判断します。

一般には日本人配偶者が扶養者(身元保証人)となり、その収入状況を主に確認されます。

例えば日本人配偶者が非常勤や学生で収入が少ない場合、申請人本人が卒業後就職予定であることや、両名の預貯金残高、親族からの経済的支援などを示すことで補強できます。

生計維持能力は、世帯全体の収入・貯蓄・支援状況等を踏まえて総合的に判断されます。

夫婦ともに無職で生活保護に頼らざるを得ない状況では、人道上特別な事情が無い限り許可は難しくなります。

公表された一律の“年収ライン”があるわけではないため、課税・納税証明、預貯金、内定通知等で継続的な生活基盤を具体的に示すことが重要です。

ここで大切なのは、「現在足りない場合は将来どう安定させるか」を示すことです。

例えば「今は留学生だが、配偶者ビザ取得後は正社員として働く内定がある」「双方の貯金で当面の生活費は十分に賄える」といった具体的根拠を用意しましょう。

また、課税・納税証明書は偽りなく提出することも重要です。

留学生本人の収入が少額で日本人配偶者の収入が主なら、形式上は留学生本人の課税証明書提出は求められない場合もあります。

しかし入管から後日追加提出を求められるケースも多いため、アルバイト収入がある場合は最初から自分の課税証明書も添付しておくとスムーズです。

経済力に不安があると感じたら、申請前に専門家に相談し、適切な書類を準備すると良いでしょう。

税金・社会保険・届出義務の履行状況

日本で生活する上での公的義務の履行状況もチェックされます。

具体的には、住民税や所得税など税金を滞納していないか、国民健康保険料や年金保険料をきちんと支払っているか、といった点です。

税金の未納・滞納がある場合、それだけで不許可となる可能性が極めて高いため要注意です。

提出する納税証明書に未納額が記載されていると致命的ですから、未払いがあれば申請前に全額納付し、新たに「未納のない」証明書を取り直す必要があります。

同様に、保険料の滞納も望ましくありません(健康保険証の提示が求められる場合もあります)。

また、入管法で定められた各種届出義務(在留カードの住所変更届出など)を怠っていないかも確認対象です。

例えば引っ越し後に市区町村への転入届を出し、14日以内に入管へ住所変更届を届け出ているかなどです。

住所(住居地)変更は、市区町村の窓口で在留カードを提示して届出を行います。

住居地の届出は市区町村で行うこととされており、そこで届出をすると入管へ届出したものとみなされます。

また、留学生から配偶者への変更の場合、婚姻に伴い氏名の変更等が生じ、在留カードの記載事項(住居地以外)に変更がある場合は、案内に従って速やかに届出を行いましょう(届出期限が定められている事項があります)。

うっかり届出を怠ったまま更新・変更申請をすると、「基本的な義務を履行しない人」と見なされ在留期間が短くなったり不許可になるリスクがあります。

日頃から公的義務は確実に果たし、「日本で安定した生活基盤を築いている」という印象を与えることが大切です。

結婚の信ぴょう性を示す工夫

最後に、結婚の実態・信ぴょう性について触れておきます。

配偶者ビザへの変更申請では、提出書類として質問書や写真などで十分に結婚の実態を説明することになります。

特に交際期間が極端に短い場合や、留学生と日本人配偶者の年齢差が大きい場合などは、入管も慎重に審査します。

そのため、夫婦の関係性が実際に深く築かれていることを客観的に示す努力が必要です。

前述のとおりスナップ写真や通信記録はその一例です。

他にも、二人の共通の知人や家族が写った写真、結婚に至るまでのエピソードを詳細に書いた陳述書なども有効でしょう。

要は、「この結婚は真実であり、在留資格目的ではない」ことを丁寧に証明することが大切です。

質問書には出会いから結婚までの具体的経緯を書く欄がありますから、嘘偽りなく具体的に書きましょう。

万一、偽装結婚を疑われるような事実があれば審査は一気に厳しくなり、不許可のみならず最悪の場合退去強制の可能性すらあります。

そうならないよう、誠実に事実を伝えてください。

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まとめ

まとめ

留学ビザから日本人の配偶者等ビザへの変更は、日本で新たな生活を築く大きな転機となる手続きです。

配偶者ビザに変更すれば就労や在留の自由度が増し、将来の永住申請も視野に入るなど多くのメリットがあります。

しかし、その許可を得るためには現在の在留状況が良好であることが前提となります。

在学中は学業をおろそかにせず、法令遵守に努め、結婚後の生活基盤をしっかり準備することが重要です。

必要書類を整え、留学中の活動実績や夫婦の関係性を十分に説明できれば、許可の可能性は高まります。

不安な点がある場合は、専門の行政書士などに相談しながら進めると安心です。

適切な準備と心構えで手続きを行い、晴れて配偶者ビザを取得できれば、日本での新たな生活への扉が開けることでしょう。

悩みや疑問を一つ一つ解消し、自信を持って申請に臨んでください。