日本に来て中華料理店やタイ料理などの料理店を経営したいと考えられている外国人の方もいらっしゃると思います。
外国人をコックや調理師として雇う場合に必要となる「技能ビザ」に関してわかり易くご説明したいと思います。
コックや調理師が必要な在留資格「技能ビザ」
料理店を経営する場合は「経営・管理」という在留資格が必要になりますが、コックや調理師として働く場合は「技能」という在留資格が必要になります。
例えば、日本で中華料理店を経営する場合、経営者ご自身は経営管理ビザを取得します。
その料理店で料理を作るための人を海外から日本によんで雇う場合、海外からくるコック又は調理師の人は技能ビザを取得しなければいけません。
技能ビザの要件
料理をつくるのがうまいからといって、誰でも技能ビザを取得できるわけではありません。
それでは、技能ビザを取得するにはどういった要件を満たさなければいけないのかを見てみましょう。
外国料理専門店
技能ビザに関する要件は省令で定められています。
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令
まず、コックや調理師として技能ビザを取得できる人の条件の一つは以下のように規定されています。
料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものを要する業務に従事する者
これは、外国料理を専門につくる料理人であるということです。
ですから日本料理や一般的な料理しか作ることが出来ない場合は技能ビザは取得できません。
中華料理といっても、一般的な餃子専門店やラーメン店のような店は「我が国において特殊なものを要する業務」とはいえないと判断される可能性が高いと言えます。
「我が国において特殊なものを要する業務」とは、本格的な外国料理のコースを出せるくらいのメニューがある専門料理店というイメージです。
実務経験
外国料理の調理師として「技能ビザ」の在留資格を取得する場合、調理業務に携わっていた期間が非常に重要になります。
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の中で、調理業務に携わっていた実務経験の期間は以下のように要件として定められています。
当該技能について十年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者
実務経験というのは、外国料理店でコックや調理師として働いていた期間です。
この期間が10年以上必要になります。
働いていた期間を証明するために在職証明書などが必要になります。
実務経験には「外国の教育機関において当該料理の調理又は食品の製造に係る科目を専攻した期間を含む。」とされています。
つまり調理の専門学校などで勉強していか期間も実務経験10年の中に含むことが出来るということです。
3年間専門学校で調理の勉強をして、7年間料理店で調理師をしていた場合は実務経験が10年ということになります。
タイ人料理人の例外
タイ人料理人の場合、実務経験が「5年」という例外があります。
(1)タイ料理人として5年以上の実務経験を証明する文書(タイ労働省が発行するタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得するための要件を満たすために教育機関において教育を受けた期間を含む。)
(2)初級以上のタイ料理人としての技能水準に関する証明書
(3)申請を行った日の直前の1年の期間に,タイにおいてタイ料理人として妥当な報酬を受けていたことを証明する文書
店の規模
店の規模や席数に関して明確な基準はありませんが、ご自身の役員報酬と調理師の給料といった人件費や家賃などの固定費以上の利益を出さなければいけませんので、カウンターで5席だけという程度の規模の店舗では技能ビザの取得は難しいと言えます。
イメージとしては20席から30席程度以上の規模は必要になるかと思います。
雇い入れる調理師の数によっては、さらに大きな規模でなければ認められないケースもあります。
「席数いくつで調理師何人雇える」という基準はなく、実際の業務を行う上でどれだけ必要なのかというように個々の案件ごとに判断されます。
技能ビザの注意点
技能ビザでもっとも問題となるのは「在職証明書の偽造」です。
「現地のことなんて判らないだろうから、在職証明書なんて偽造しても大丈夫だろう」と考える人がいるのだと思うのですが、この点は入国管理局はかなり細かく確認します。
海外から人を招聘してコックや調理師として雇う場合、在職証明書を発行した店に連絡をして確認するなど、在職証明書が偽造されたものではないかを必ず確認することをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
料理がうまいというだけでは技能ビザの取得が出来ないということをご理解いただけたかと思います。
特に実務経験に関しては、最後にご説明しましたように入国管理局にとっても慎重に調査するポイントになっています。
在職証明書が偽造している場合は当然不許可になりますが、9年6ヶ月というように10年にあと少し満たないような場合でも不許可となります。
定められた要件は必ず満たす必要がありますので、十分注意をして下さい。