在留資格「高度専門職」|高度専門職を分かりやすくご説明します。

従来、法務省から高度人材と認定された方は「特定活動」という在留資格が付与されていました。

この「特定活動」の在留資格は、他の在留資格に該当しない場合に法務大臣が個々の外国人に活動を指定していた在留資格ですが、高度人材以外の方にも付与されている在留資格です。

しかし、日本が高度人材の積極的な受入れを図っていることを明確にして、高度人材の受入れをさらに促進するため、高度人材の方のみに付与される新しい在留資格「高度専門職1号」と「高度専門職2号」が平成27年4月1日に創設されました。

高度専門職とはどのような在留資格で、どのような外国人が対象となるのかを、わかりやすくご説明します。

高度人材外国人とは

高度人材ポイント制に該当する外国人とは、どういった人達なのでしょうか。

平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書で、以下のように定義付けられています。

高度人材とは、「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」であり、「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」と定義付けることができる。

ちょっと判り難いですね。

要は、「優遇してでも日本に来てもらいたいすごく優秀な人」です。

例えば以下のような方々が想定されます。

  • 研究成果の著しい博士号取得者
  • 優良大企業の経営者
  • 高度な技術者
  • すでに実績が証明されており、その業界で著名な人材
  • 無名ではあるが、実績もあり能力の高さもすでに証明されている人材
  • 留学生などの高度人材予備軍

高度外国人材とは、具体的には3つの種類の活動を行う外国人が対象になります。

それでは、その3つの種類の活動をみてみましょう。

高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」

高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」

入国管理局のホームページでは「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動」と定義されています。

要するに、研究所の研究者や研究の指導、教育などを行う教授(先生)のような方々です。

高度人材として認定されている数は、次にご紹介する高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」に次いで多くなっています。

高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」

高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」

入国管理局のホームページでは「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動」と定義されています。

自然科学とは、生物学や化学、物理学のような自然界の現象に関する研究分野を指します。

人文科学とは、哲学、心理学、歴史学、社会学のような人間に関する研究分野を指します。

こういった分野の知識や技術が必要とされる仕事に従事するのが、高度専門・技術活動になります。

高度人材として認定されている数は、3つの活動の中で最も多くなっています。

高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」

高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」

入国管理局のホームページでは「本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動」と定義されています。

要するに会社経営者(社長)や役員など会社を管理する人達です。

他の在留資格では「経営・管理」に相当する活動内容になります。

高度人材ポイント制とは

「高度専門職」の在留資格の取得するためには、高度人材ポイント制で規定の点数以上あることが必要になります。

高度人材ポイント制とは、高度人材外国人の活動内容を「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」の3つに分類に対して、それぞれの特性に応じて「学歴」「職歴」「年収」などの項目ごとにポイントを設けた制度です。

ポイントの合計が一定点数(70点)に達した場合、高度人材として認定され、出入国管理上の優遇措置を与えられます。

高度人材ポイント制の計算方法

高度人材のポイントは「学歴」「職歴」「年収」「年齢」の4項目に加えて、3つの分類のそれぞれに応じた特性でボーナス点が加算される仕組みになっています。

高度人材ポイント計算表

学歴条件

学歴は大卒と修士号以上でポイントが加算されます。

「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」の場合は博士号の取得でさらにポイント加算があります。

また、日本の大学を卒業している場合は、さらにポイントが追加されます。

職歴条件

職歴は3年以上の実務経験があればポイントが加算されます。

「高度専門・技術活動」「高度経営・管理活動」は10年以上の実務経験がある場合は、さらに加算があります。

年収条件

「高度学術研究活動」「高度専門・技術活動」の場合は、年齢に応じた年収額でポイントが加算されます。

「高度経営・管理活動」の場合は、年収は1000万円以上でポイントが加算されます。

ここで注意しなければいけない点があります。

年収には最低条件として300万円以上という条件が付けられています。

つまり年収300万円未満の場合、他の条件で70ポイント以上獲得しても、高度人材として認定されませんのでご注意下さい。

地位条件

高度経営・管理分野の高度専門職の場合、地位条件でポイントの加算があります。

経営管理ビザで申請される場合、ほとんどが取締役以上の役職になられると思いますので、この条件は比較的ポイントが稼ぎやすい項目と言えます。

地位ポイント
代表取締役・代表執行役・代表権を有する業務執行社員10ポイント
取締役・執行役・業務執行社員5ポイント

特別加算条件

高度経営・管理分野の高度専門職の場合を例にとると、上記の条件以外に、個別の条件をクリアすることでポイントが加算されます。

特別加算ポイント
所属会社がイノベーション創出促進支援措置を受けている
(中小企業の場合)
20ポイント
所属会社がイノベーション創出促進支援措置を受けている
(中小企業以外の場合)
10ポイント
試験研究費・開発費の合計額が売上高の3%超
(中小企業の場合)
5ポイント
従事しようとする業務に関して外国の資格・表彰等があり
法務大臣が認めたもの
5ポイント
日本の大学・大学院を卒業したもの10ポイント
日本語能力試験N1合格相当または日本語を専攻して
外国の大学を卒業したこと
15ポイント

入国管理局のリーフレットに詳しい計算条件が記載されていますので、ご参照下さい。

また、入国管理局のホームページから高度人材ポイント計算表が入手できます。

入国管理局HP 高度人材ポイント計算表

ボーナスポイントに関しましては以下のサイトも参考にして下さい。

高度専門職のメリット

高度専門職の最も大きなメリットは永住許可要件の緩和だと言えます。

永住申請をするためには10年間日本に在留していることが条件となりますが、高度専門職1号の場合は3年間、高度専門職2号の場合は1年間に永住許可の要件が緩和されます。

この永住許可要件の緩和が「日本版高度外国人材グリーンカード」とも言われています。

日本版高度外国人材グリーン

その他の高度専門職1号と2号のそれぞれのメリットを以下にご紹介します。

「高度専門職1号」の場合

高度専門職1号には、以下のようなメリットがあります。

  • 複合的な在留活動の許容
  • 在留期間「5年」の付与
  • 在留歴に係る永住許可要件の緩和
  • 配偶者の就労
  • 一定の条件の下での親の帯同
  • 一定の条件の下での家事使用人の帯同
  • 入国・在留手続の優先処理

「高度専門職2号」の場合

高度専門職2号は、以下のメリットがあります。

  • 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
  •  在留期間が無期限となる
  • 在留歴に係る永住許可要件の緩和
  • 配偶者の就労
  • 一定の条件の下での親の帯同
  • 一定の条件の下での家事使用人の帯同
  • 入国・在留手続の優先処理

高度外国人材の推移

2018年6月末時点での高度外国人材の累計数は12,945人となっています。

高度人材ポイント制の認定件数

2017年末の国籍・地域別高度外国人材の在留者数の推移は以下のようになっています。

1位の中国が67.0%を占め、2位アメリカが4.5%、3位インドが4.3%となっています。

国籍・地域別高度外国人材の在留者数の推移

まとめ

まとめ

いかがでしたでしょうか。

国際的な技術競争の中で、優秀な人材を確保することは非常に重要になっています。

優秀な外国人を獲得するため、日本政府も永住要件の緩和などをおこなう「高度専門職」という在留資格を創設しました。

もし高度人材に認定される可能性がありそうな場合は、是非ご確認されることをお勧めします。