
はじめに
在留期限が近づくと、「更新は何をすればよいのか」「必要書類は足りているか」「不許可になったらどうしよう」と不安になる留学生の方は多いのではないでしょうか。
在留資格『留学』(以下、留学ビザ)には在留期間が定められており、学業を続けるには期限前に更新の手続きが必要です。
本記事では、留学ビザの更新について、更新と変更の違い・審査で見られるポイント・必要書類・申請の時期と流れ・よくある不許可事例を、行政書士の視点で解説します。
卒業後に必要となる在留資格の変更や、2026年に進められている留学関連の運用見直しにも触れます。
なお、入管法令は頻繁に改正されるため、最新の情報は必ず出入国在留管理庁(以下、入管庁)の公式サイト等でご確認ください。
留学ビザの更新(在留期間更新許可申請)とは
まずは、留学ビザの更新がどのような手続きなのかを確認します。正式名称と、許可された場合の流れを押さえておくことが第一歩です。
留学ビザの更新(在留期間更新許可申請)とは、在留資格『留学』を変更することなく、留学としての活動を継続するために、在留できる期間を延長する手続きです。
留学ビザの在留期間は、4年3月・4年・3年3月・3年・2年3月・2年・1年3月・1年・6月・3月のいずれかで、法務大臣が個々に指定します(4年3月を超えない範囲です)。
期限が切れる前に更新許可申請を行い、許可されると新しい在留カードが交付されます。在留期間は学業の継続に直結するため、早めの準備が大切です。
在留資格そのものの仕組みについては、在留資格とはの記事もあわせてご覧ください。
「更新」と「変更」はどう違う?
更新の前に整理しておきたいのが、「更新」と「変更」の違いです。手続きの種類を取り違えると、必要書類も審査の観点も変わってしまうため、ご自身がどちらに当たるかをまず確認しましょう。
在留資格『留学』のまま、留学としての活動を継続する場合は「更新」(在留期間更新許可申請)です。
これは同じ学校で学び続ける場合に限られず、進学・転校などで教育機関が変わっても、在留資格『留学』を継続するのであれば更新の対象となり得ます。
ただし、所属する学校が変わる場合は、別途、所属機関に関する届出が必要です。
一方、卒業して就職する場合など、在留資格そのものを変える場合は「変更」(在留資格変更許可申請)が必要となります。
注意したいのは、学校で進級や在籍延長が認められたとしても、入管庁の更新許可が当然に下りるわけではない点です。
出席率や成績が芳しくない場合などには、更新が認められないこともあります。
学業の継続と在留期間の更新は、別々の判断であることを意識しておくことが大切です。
留学ビザ更新の要件・審査で見られるポイント
留学ビザの更新では、「引き続き留学生として適切に学んでいるか」が中心的に審査されます。
ここでは特に重視される3つのポイントを解説します。
あわせて、納税などの公的義務や各種届出の履行も考慮要素となるため、最後に補足します。
出席率・成績・進級状況
最も重視されるのが、学校への出席状況と学業の成果です。
留学生は学ぶことを目的に在留しているため、きちんと通学しているかが確認されます。
出席率の「8割程度」という水準は、法令上の一律の基準ではなく、審査上の目安とされています。
日本語学校や専門学校では出席率が重視される一方、大学では単位制のため、取得単位数や進級・留年の状況がより重視される傾向があります。
出席率が著しく低い場合や、成績不良で原級留置(留年)が続いた場合などには、更新が認められないことがあります。
日頃から授業に出席し、学校で記録が適切に保存されていることが重要です。
経費支弁能力
学業と日本での生活を続けられる経済的な裏付けがあるかも、重要な審査ポイントです。
学費や生活費をどのように賄うのかが確認されます。
自費の場合は預金残高証明、ご家族などが支弁者となる場合は支弁者の収入を証する資料や送金の記録、奨学金を受けている場合は奨学金の支給証明などで、経費支弁能力を説明します。
アルバイト収入のみに過度に依存している状況は、本来の在留目的である学業との関係で確認を受ける場合があります。
資格外活動(週28時間)の遵守
留学生がアルバイトをするには、資格外活動許可(アルバイト等のための許可)が必要です。
許可の範囲を超えた就労は、更新審査に影響します。
資格外活動の包括許可を受けた留学生のアルバイトは、原則として1週について28時間以内に制限されています(教育機関の長期休業期間中は1日について8時間以内です)。
複数の勤務先を掛け持ちする場合は、合計時間で判断される点にもご注意ください。
この上限を超えて働いていた場合、更新が不許可となるおそれがあります。
なお、包括許可があっても、風俗営業等での就労はできず、アルバイトができるのは教育機関に在籍している期間に限られます。
資格外活動の詳しいルールは、資格外活動許可とアルバイトの注意点の記事で解説しています。
これら3点に加えて、納税義務や国民健康保険料等の公的義務の履行、住居地や所属機関に関する届出、在留カード関係の義務の履行も、更新審査上の考慮要素とされています(在留資格の変更・在留期間の更新許可のガイドライン)。
日頃から各種の義務を適切に履行しておくことが、円滑な更新につながります。
留学ビザ更新の必要書類
更新申請には、申請書のほか、在籍・成績・経費支弁を裏付ける資料が必要です。
ここでは主な確認資料の例を示します。
実際の提出書類は学校の区分等によって異なるため、必ず入管庁の案内をご確認ください。
| 書類名 | 概要 | 取得先 |
|---|---|---|
| 在留期間更新許可申請書 | 申請の中核となる書類(写真貼付) | 入管庁HP |
| 写真(縦4cm×横3cm) | 申請前6か月以内に撮影したもの | - |
| パスポート・在留カード | 申請時に提示(写しの提出を求められる場合あり) | - |
| 在学証明書 | 在籍を証明する書類 | 在籍校 |
| 成績証明書・出席状況の記録 | 学業状況・出席率の確認用 | 在籍校 |
| 滞在費支弁に関する申告書・経費支弁の資料 | 預金残高証明・送金記録・奨学金支給証明等 | 入管庁HP・金融機関・支弁者等 |
上記はあくまで主な確認資料の例です。実際の提出書類は、教育機関の区分(大学・専門学校・日本語教育機関等)や適正校の区分等により異なります。
入管庁の在留資格『留学』ページに掲載されている区分別の提出書類一覧を必ずご確認ください。
また、各種確認書の提出が求められる場合があります(後述の2026年の運用見直しを参照)。
なお、日本で発行される証明書は発行日から3か月以内のものを用意し、外国語で作成された資料には日本語訳を添付するのが原則です。
[画像挿入推奨: 留学ビザ更新の必要書類一覧の図(alt: 留学ビザ更新の主な確認資料)]
申請の時期と流れ(いつから・特例期間・オンライン申請)
更新は、申請できる時期と期限の管理が非常に重要です。
ここでは、いつから申請できるか、結果が出るまでの目安、期限が来てしまった場合の取扱いを解説します。
留学ビザの更新は、在留期間が6か月以上の場合、在留期限のおおむね3か月前から申請が可能です(入院や長期の出張など特別な事情がある場合は、3か月以上前から受け付けられることもあります)。
期限管理について、条件関係を整理しておきます。
在留期限までに更新申請をしていない場合、在留期限を過ぎると不法残留となり、退去強制の対象となるおそれがあります。
一方、在留期限までに適法に更新申請をしていれば、たとえ期限までに審査結果が出なくても、処分がされる時、または従前の在留期間の満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、引き続き従前の在留資格で在留できる特例期間の取扱いがあります(入管法第21条第4項が第20条第6項を準用)。
いずれにしても、申請は在留期限前に済ませておくことが大前提です。
申請から結果が出るまでの標準処理期間は、おおむね2週間〜1か月が目安とされています(時期や案件の内容により前後します)。
申請の大まかな流れは次のとおりです。
- 書類の準備:在学・成績・出席・経費支弁の資料を学校等から取得します。
- 申請書の作成:在留期間更新許可申請書を作成します。
- 申請:住居地を管轄する地方出入国在留管理局の窓口、またはオンライン(在留申請オンラインシステム)で申請します。
- 審査・補正:必要に応じて追加資料の提出を求められることがあります。
- 結果の受領:許可されると、新しい在留カードが交付されます。
手数料は、許可される際に必要となります。
2025年4月1日改定後、在留期間更新許可申請は原則として窓口6,000円・オンライン申請5,500円です(収入印紙で納付)。
よくある不許可・トラブル事例
更新が不許可となる背景には、いくつかの典型的なパターンがあります。
ここでは代表的なケースを挙げます。
事前に把握しておくことで、不許可のリスクを下げることにつながります。
ケース1:出席率の不足・成績不良
授業を欠席しがちで出席率が下がっていたり、単位が著しく不足していたりすると、「学業を継続する実態がない」と判断され、更新が認められないことがあります。
なお、正当な理由なく留学生としての活動を継続して3か月以上行わない場合には、在留資格の取消しの対象となることもあります(入管法第22条の4)。
ケース2:資格外活動(週28時間)の超過
許可の範囲を超えてアルバイトをしていた場合、更新審査で不利に扱われることがあります。
複数の勤務先を掛け持ちし、合計で上限を超えてしまうケースには特に注意が必要です。
ケース3:経費支弁の説明不足
学費・生活費の支弁の裏付けが十分に説明できないと、在留の継続性に疑問を持たれることがあります。
支弁者の状況が変わった場合などは、丁寧に資料を整えることが大切です。
なお、留学を続けることが難しくなった場合に、他の在留資格への変更で在留を継続できた例もあります。
「留学」から「特定活動」へ変更が認められた事例も参考になります。※個別事案により判断は異なります。
卒業後はどうなる?更新ではなく「変更」が必要なケース
卒業を控える方の中には、「更新」と思っていた手続きが、実は「変更」だったというケースがあります。
卒業後の進路によって、必要な在留資格は変わります。
ここで代表的なパターンを整理します。
就職して企業で働く場合は、職務内容に応じて在留資格『技術・人文知識・国際業務』(以下、技人国)などへの在留資格変更許可申請が必要です。
卒業後も就職活動を続ける場合は、一定の要件のもとで在留資格『特定活動』への変更が認められることがあります。
分野によっては、在留資格『特定技能』への移行が選択肢となる場合もあります。
留学から就労資格への変更は、翌年度4月の入社に向けて、例年12月1日から1月末ごろの申請が案内されています。
早めにスケジュールを確認しておくことをおすすめします。
なお、卒業・中退した後の特例期間中は、資格外活動許可を持っていてもアルバイトはできない点にご注意ください。
技人国の制度内容は、在留資格『技術・人文知識・国際業務』とはで詳しく解説しています。
就労ビザへの変更は、学歴・職務内容との関連性などが審査されます。
過去には、一度不許可となった後に資料を整え直して認定が下りた事例もあります。
3回の不許可を経て認定が下りた事例や、「技術・人文知識・国際業務」から「特定技能」へ変更した事例もご参照ください。※個別事案により判断は異なります。
2026年の留学関連の運用見直しと更新への影響
留学に関する入管の運用は、2026年に見直しが進められています。ここでは、入管庁の公表資料で示されている内容を整理します。
いずれも詳細・例外は入管庁の最新資料でご確認ください。
日本語能力の確認(各種確認書)の運用見直し
入管庁の公表資料「日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについて」(令和8年4月)によれば、日本語教育機関への入学に係る日本語能力の確認として、各種確認書の提出が求められることになりました。
適用時期は、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請については令和8年(2026年)7月1日以降の申請から、在留資格認定証明書交付申請については令和8年10月以降に入学を予定する学生に係る申請から、とされています。
したがって、日本語教育機関に入学・在籍する留学生の更新申請にも影響し得ます。
ただし、前回の申請から在籍する教育機関に変更がない場合は、各種確認書の提出は不要とされています。対象範囲・例外は入管庁の最新資料で必ずご確認ください。
資格外活動の実態把握
あわせて、日本語教育機関と連携した留学生の資格外活動(アルバイト)の実態把握も進められています。
週28時間の上限を超えた就労は、これまで以上に注意が必要と考えられます。
留学ビザの厳格化の全体像については、留学ビザの厳格化とはで詳しく解説しています。
よくあるご質問
更新に関して、留学生の方からよく寄せられるご質問にお答えします。
Q:更新はいつから申請できますか?
在留期間が6か月以上の場合、在留期限のおおむね3か月前から申請が可能です。
期限が切れると不法残留となるおそれがあるため、できるだけ早めに準備を始めることをおすすめします。
Q:2026年7月以降、更新で日本語能力の確認が必要になりますか?
入管庁の公表資料によれば、日本語教育機関への入学に係る日本語能力の確認(各種確認書)が、在留期間更新許可申請については令和8年(2026年)7月1日以降の申請から適用されます。
ただし、前回の申請から在籍する教育機関に変更がない場合は提出不要とされています。
ご自身が対象となるかは、在籍校や入管庁の最新資料でご確認ください。
Q:出席率が下がってしまいました。更新できますか?
出席率は重要な審査ポイントですが、結果は個別事案により判断が異なります。
やむを得ない事情がある場合は、その事情を説明する資料を整えることが大切です。
まずは在籍校の窓口にご相談ください。
Q:アルバイトのしすぎは更新に影響しますか?
資格外活動許可の範囲(原則として1週28時間以内)を超えた就労は、更新審査で不利に扱われるおそれがあります。
複数の勤務先の合計時間にもご注意ください。
Q:在留期限までに結果が出ない場合はどうなりますか?
在留期限までに更新申請をしていれば、処分がされる時、または従前の在留期間の満了日から2か月を経過する日のいずれか早い時まで、引き続き在留できる特例期間の取扱いがあります。
ただし、申請自体は期限前に済ませておくことが前提です。
まとめ
留学ビザの更新は、在留期間が6か月以上の場合は在留期限のおおむね3か月前から申請でき、出席率・成績・経費支弁能力・資格外活動の遵守が主な審査ポイントとなります。
あわせて、納税などの公的義務や各種届出の履行も考慮されます。期限管理を徹底し、学業の実態を裏付ける資料を整えておくことが、スムーズな更新につながります。
2026年7月以降は、日本語能力の確認が更新申請にも適用される(在籍教育機関に変更がない場合は提出不要)など運用が見直されているため、最新の情報を入管庁の公式情報で確認しながら準備を進めることが大切です。
個別の事案については、専門家へのご相談をおすすめします。
さむらい行政書士法人では在留資格申請のサポートを行っています。
※本記事は2026年6月時点の入管法令・公開情報をもとに作成しています。法令改正等により内容が変更される可能性があるため、最新の情報は出入国在留管理庁の公式サイト等でご確認ください。個別の事案については弁護士・行政書士等の専門家へのご相談を推奨します。


